空の翡翠
濡れた薔薇
【Aメロ】
悲しみの 運命(うんめい)に
縛られ 嘆きの中
詠う声
雨音に 流された
悲劇の 涙の中
呼ぶ声
【Bメロ】
我が悲劇の運命(さだめ) 打ち砕く
薔薇の棘
雨の向こう側は 晴れ渡り
弱き心に
罪の雨が降る
【サビ】
濡れた薔薇のように
美しくも悲しい宿命
優しい面影 消え揺れる
いつかあなたの元へ
走ってゆけるように
(強くなる)
【Aメロ】
悲しみに 打ち勝て
鎖など 切り裂き
立ち向かえ
濡れた 薔薇の花
涙に 暮れた日々
握り潰す
【Bメロ】
悲しみに彩られた 運命さえ
祝福の薔薇
空高く望むは 楽園の微笑
強き心に
愛の雨が降る
【サビ】
潰れた薔薇のように
醜くも美しい私に
手を差し伸べる 君の目に
覚悟の灯火を
今見せ付けてやれ
(立ち向かえ)
濡れた薔薇のように
美しくも悲しい宿命
濡れた薔薇のように
美しくも優しい運命
あなたの胸元へ
いつかたどり着いて
この雨の中を 笑えるように
プロローグ(救いを)
ああ、神よ
万軍を指揮する神よ
我が罪を許し給え
我が咎を清水にて流し給え
ああ、神よ
全知の神よ 万能なる神よ
哀れな子らを救い給え
安らぎの国へ 連れて行き給え
1
インターネットが浸透した現代、誰もがいつでもネット環境に接続できる状態にある。例えパソコンがなくとも、携帯を持っていればそこからインターネットアクセスが可能だ。
便利な世の中。
そして、それにまるで比例するかのように荒んでゆく人の心。
便利なネット環境には、有益な情報もあれば偽りの情報、そして危険な情報も存在している。
普通であれば、そんな情報を掲載しているサイトになどアクセスしないか、好奇心を満たすために閲覧するだけで、リアルで実行しようとする人間は極わずかだ。
そんなサイトの中には「復讐屋」「仕返し屋」など、物騒な事を取り扱うホームページもある。「殺し屋」なんてものもあるが、もし殺しを依頼したところで高い料金を取られるだけで、実行してくれるわけもない。つまりは大概が詐欺サイトで、ウィルスサイトも中には含まれる。
だから誰も、そんなサイトにアクセスもしないし、依頼もしない。
ただのアングラサイトとして存在しているだけだ。
この現代日本に殺人だとか復讐だとか、そういったものを完璧に、誰にも、警察にもバレないように行うのはかなりの至難の技で、しかもネットでの依頼だと余計にリスクも上がる。
だから誰もそんな事は行わないのだ。
例え、殺したいほど憎い相手がいたとしても、復讐したくても、大概の人間は我慢するのだ。
だが、この現代日本、それも中都市程度のある街で密かな噂が流れていた。
依頼すれば必ず実行してくれる、しかも料金は一切受け取らない、まるでボランティアみたいなサイトがある、と。
常識的に考えれば、そんなはずはない。もし依頼があって殺人を実行したとしても、その証拠隠滅には相当の手間がかかるし殺人のリスクは無償で行えるものなのでは決してない。
しかも、街の噂では「絶対に警察にバレない」そうだ。
なんでも、誰かを殺したいほど憎んでいる人物をわざわざ殺人サイトの方から声をかけてくるらしい。そして、もしもその声をかけた人物が「殺してほしい」と依頼したら、その一週間後には必ず実行される。そして完全に証拠を隠滅させ、しかも依頼した人物は一切、警察に疑われずにすむ……というまるで夢か魔法のような噂があるのだ。
その逆もある。
殺人サイトに依頼してくる人間も少なからずいるもので、その中には半信半疑、ちょっとした悪戯心で依頼する人間もいる。だが、殺人サイトは全ての依頼を受け付け、そして実行してしまう。
まあ、そんな殺人サイトが簡単に検索して出てくるわけもないから、ほとんどが偶然に見つけてしまった場合のケースだ。その殺人サイトのアドレスを知っている者は、少なくとも街の人間じゃ一人もいない。
偶然に声を掛けられ、偶然にサイトにアクセスしてしまった者だけが、殺人サイト……通称【Cocytus】によって殺人が行われてしまうというわけだ。
もちろん、そんな噂を信じているのは極一部で、街の大多数の人間はそんな事は微塵も信じていないし、噂が広まったのも2年前だから、だいたいの人間の記憶からは消え去ってしまった。
そんなサイトなんて、あるわけもない。
あってはいけないのだ。
2
電車に乗り遅れてしまった……。
暗い夜道を足取り不安定に歩いている吉松は苦々しく心の内で呟いた。
食品コンサルティング会社に入社してすでに26年目の吉松は、順調に出世を重ね、今では課長の椅子に座る事ができた。
そこまで大きくない会社だから取引内容も会社に比例するかのように、微々たるもので、やりがいこそは感じていなかったが地道に作業をしてくのは真面目な性格の吉松にはぴったりの職業で、そこまで会社には不満がない。
だが、一つだけ会社での不満がある。
上司である長谷川部長は、真面目で控えめな吉松から見ても傲慢で、しかも酒癖が悪い。年中部下を居酒屋に誘い出し、アルコール度数の高い酒を無理やり飲ませようとする。
気の弱い吉松は、気の強い長谷川から見れば格好のカモだったのだろう。年がら年中、居酒屋へと誘い出され、酒の飲めない吉松に無理やり酒を飲ませ、その姿を長谷川は下品な笑い声で嘲笑う。
大人しい性格の吉松も、さすがに腹が立っていた。
しかし、気の弱い性格の吉松が上司である長谷川に意見を言えるわけもなく、今日もこうして酒飲みに付き合わされてしまったわけだ。
なぜか今晩は機嫌が良かった長谷川は、終電に間に合わなくなるから、という吉松の必死の嘆願も聞き届けずに夜の2時まで吉松を付き合わされた。
無論、終電には遅れ家まで徒歩で帰る羽目になった。
明日が日曜で会社が休みなのがせめての救いだ。
しかし、もう季節は冬真っ盛りでいくらコートに身を包もうとも凍えるように寒い。しかも夜の気温は氷点下を上回り、暗い夜道を酒に酔った体で歩くのはかなり辛い。
時々足元が覚束なくなって、電柱に頭をぶつけた時、どうしょうもない空しさが吉松を襲った。
家には妻と一人の娘がいる。娘はまだ小学校に上がり立てで、少しわがままな性格だが可愛らしい娘だと吉松も、吉松の妻もたった一人の子どもに溺愛していた。
だが、妻との関係は最近うまくいっていない。
課長に昇進する前までは、だいたいいつも定時に退社できたし、たまに酒を飲んで帰ってきても、それでも11時を過ぎる事はなかったはずだ。
なのに課長に昇進し、今まではまったく話もした事がなかった部長に目を付けられてしまい、夜遅く帰るは酔ったままで帰宅するわで、妻は腹を立てていた。
日曜日は、だいたい二日酔いで体を休める事しかできずに、子どもや妻と昔のようにどこかへ遊びに行く事もできない。
吉松自身としては、妻や子ども達との時間を大切にしたい。だが、それを長谷川部長は許してくれず、休日もゴルフで駆り出される事も多々あった。
お陰で、妻との関係は最悪。
いつ妻から離婚の話を切り出されるかとビクビクと怯えてしまう。
これも全部、長谷川部長が悪いのだと、吉松は何度目かの悪態をついた。
殺してやりたい、とは何度も思った。だが臆病な吉松にそんな事ができるわけもないし、復讐も、パワーハラスメントだとして長谷川を訴える事もできない。
情けない自分に腹が立つばかりで、結局何もできずにいる。
また来週からは、同じような日々が続き、妻からは呆れられるのだろう。
そしていつかは、妻から離婚届けの判を押すように責められるのだろう。
ふぅ、っと深いため息を吐くとふと、夜空を見上げてみたくなった。
いつもいつも地面ばかり見つめて歩いてきたから、夜空なんて見上げた事なんかなかったが何故か夜空を見たかった。
酒に酔っていたからだろうか。
それとも、夜空を見て荒んだ心を癒されたかったからなのだろうか。
冬の大空は広く、それほど高いビルが建っていない街だから夜空は大きく見えた。
だが、空には雲がかかっているのだろう。満天の星空とまではいかなかったが、雲の合間から微かに見える星星の輝きに吉松は目を奪われた。
白く煌く星。そして青白く輝く月。
吉松はしばらく、見とれていた。
「今晩は。いい月夜ですね」
唐突に人の話し声が夜道に響いた。
吉松は度肝を抜かれるような思いだった。
美しい夜空を眺めていた吉松の視線はずっと上を向いていたから、人が近づいて来ていただなんて思いもしなかった。
吉松は慌てて視線を夜空から、声をかけてきた人物に移そうとした。
だが辺りは真っ暗で、電灯の明かりもわずかなもので電灯の下にでも立っていてくれないと、その人物が男か女かも認識できない。
月の、僅かな明かりで薄っすらと人の輪郭が闇夜に浮かびあがって見えるくらいだ。
かなり身長の高い人物に見える。体の線は細い。
高身長の女性なのかもしれない。だが、さっき話しかけられた時の声は紛れもない男性の声だった。
もしかしたら、夜警の警察官なのかもしれない。
住宅街の夜道で、空をぼーっと突っ立って見ている中年男性なんてどこから見ても不審者に見えるだろう。吉松は慌てて、弁明をしようとした。
「あの、星空が綺麗で……見とれていて、あの、その。別に怪しい人物じゃないんで……」
「別に私はあなたが不審人物だと思って、話しかけたわけじゃありませんよ。夜空に見とれる、なんて誰にでもある事でしょう?」
「は、はぁ……」
ずいぶんと落ち着いた声で話す人だな、と吉松は思った。
はっきりとした話し方で、人を安心させるような声を持っている。
だが、警察官でもないのなら、一体誰なんだろう? この時間帯にこんな住宅街の細道を歩いている人物。散歩か?
「……えっと、あなたは散歩でここに? それとも、家に帰る途中ですか?」
一々人の事を詮索するのは失礼だな、と思いつつも詮索してみたくなる。
きっとこの時間帯に夜道を歩いている人物なんて、家に帰る人か夜に散歩をする趣味がある人のどちらかだ。
だが、男性は「いいえ」と静かな口調で答えた。
「私は散歩でここにいるわけじゃありません。もちろん家に帰る途中でも。……あなたに会うために、ここにいるんですよ」
「は?」
吉松は間の抜けた声を出した。
こんな夜中に、しかも外で、顔が見えないが、恐らく知らない人物であろう男からそんな事を言われて、疑問に思わない人物などいるのか?
いない。恐らく、確実に。
「わ、私はあなたを知りませんよ」
怯えた声で吉松は顔の見えない男性に告げた。
まるで顔の見えない男性が幽霊のように思えてきて、恐怖を肌で感じていた。
「ええ、そうでしょうね。私もあなたと会うのはこれがはじめてです」
「じゃ、なんで、そんな、事」
男性の声音は吉松の怯えて震えた声とは真逆の、落ち着いてしっかりとした声だった。
「ですが、あなたから私はあるものを感じました。それが何か、ご存知ですか?」
「あるもの…・・・?」吉松はしばらくの間、思考に耽ってみたが、男の言っている意味が結局はさっぱり分からなかった。
「そう、あるものです。……あなたは誰かに、強い恨みを持っていませんか?」
男の声はどこまでも落ち着いていて、それが逆に無慈悲で感情のないロボットのように思えた。
吉松は思わず頷きそうになったが、なんでこんな怪しい男の話に付き合わなければいけないのか、と思い返してここから逃げ出そうと、男から背を向けた。
この男はきっと、気が狂っているんだ。
そんな男と話したら、こっちの身も危険だ。
そう吉松は判断して、恐怖と酒酔いで震える足で歩き出そうとした。
「殺したくありませんか? ……憎い上司を」
嘲りも混じっている男の声に、思わず吉松は足を止め、振り返る。
なんでそんな事を知っているのだ、と強い口調で男を問い詰めようとするが、男の次の言葉によって吉松の思考はまるで凍ったように、動かなくなってしまった。
「殺してあげますよ。あなたの憎い上司を」
まるで甘い毒のような声音に、吉松はただ頷くことしかできなかった。
例えこれが蛇の甘言だとしても、今の吉松の思考能力に理性は存在していなかった。
存在しているのは、憎悪だけで。
必死に何度も頷く吉松の姿を、赤い瞳が嘲笑っていた。
救いは……(2)
「よぉ、市川。ここにいたのか」
先輩はまるで私なんか存在していないかのように、市川先輩に話しかけて目を合わせている。市川先輩は男の先輩へ対して微笑みかけた。
「あら、新庄君」
「おう」
二人は親しげに微笑み合っている。どうやら二人の様子を見ると、知り合いらしい。
市川先輩と男の人は簡単な挨拶を交わすと、男の人が私の正面のソファー……つまり市川先輩の左隣へと腰をおろした。
「やだ、隣に座らないでよ。汗の臭いが移るじゃない」
「何言ってやがる。これは青春の汗だぜ?」
男の人の服装をよく見てみると、学校指定の半袖シャツの脇の下は汗で濡れていた。あと、うっすらと男の人の額から汗が染み出ている。
それを見て、市川先輩は心底嫌そうな顔をした。
「はぁ……あなたにとっては青春の汗でも、私にとっては腐臭の汗なのよ」
「そんな言い草はねぇだろうが」
「それにあなた、服装もこんなに乱れて。下品だわ」
市川先輩の言う通り、確かに男の人の服装は乱れていた。校則じゃシャツはズボンに入れるはずになっているんだけど、シャツは出しっぱなしだしボタンも第三ボタンまで開けている。髪の毛もボサボサで、茶色に染めていた。
「これはファッションなんだって」
「ファッション? ただ面倒くさくて、ボサボサにしているだけでしょうに」
と、市川先輩は男の人の髪型を指差しながら言った。
「こういうヘアースタイルがあるんだって!」
男の人は何かを必死に説明しようとしているが、市川先輩に一睨みされて、押し黙った。
「はぁ……」
呆れたようにため息を吐く先輩。
「(…………?)」
私は二人のやり取りを見て、中々仲に入る事ができずに首を傾けていた。
「で、市川はどうしてここにいるんだ?」
「まぁね。あの人に呼ばれて……まったく、ふざけるんじゃないわ。こっちの都合も知らないで……」
「まぁまぁ、そんなカッカするなよ。大事な用事かもしれねぇじゃないか……で?」
男の人は私の目をじっと見据えて、意味ありげな笑みを口元に浮かべた。
「こいつ、誰?」
「(こ、こいつって……なんだか怖いな)」
……その、鋭い、いや無感動な視線に私は言葉を失ってしまう。あまりに無慈悲なその双眸は、私を押し黙らせるには一番効果的だった。
「……ちょっと耳貸せよ、市川」
……あの無慈悲で無感動で、まるで人形のような瞳から解放された私は、誰にも気づかれぬよう、心の中でほっとため息を吐いた。
「何……?」
すごく話の内容が気になるけど、私が2人の話を中断させて割って入っていくなんて真似はとてもじゃないができない。
それに2人は小声で話し合っていて、それが完璧に私には聞こえてこない。だから私は2人の会話が終わるのを待つしかできないのだが、意外と早く終わった。
「(何の話、してたんだろ……)」
短い会話の中に、何か面白い話でもあったのだろうか。市川先輩と男の人は楽しそうに談笑している。
「――へぇ? 面白い話じゃない」と市川先輩の表情に、笑みが浮かぶ。
市川先輩の綺麗に整えられた眉毛が微かに上下し、その黒い瞳は好奇心に満ち溢れ、まるで黒真珠のように輝いていた。
「だろ? このためにアイツ等から奪い取ってきてやったんだぜ。アイツ等、いきり立っていたなァ」
男の人はギラギラ、という擬音似合うような、獲物を狙う狩人のような……そんな獰猛な瞳を輝かせていた。
私は思わず、息を呑み込む。
私の恐怖は顔に出ているはずなのに、市川先輩は怯えている私をチラっと一瞥しただけで悠然とした態度で、男の人に対して呆れたような顔をしている。
「まったく、恵吾。あなたはいつも意地汚いわ」
男の人を諭すような優しい声で先輩は言ったけれど、今の私には市川先輩の瞳も男の人と同じように獰猛で、毒々しくて……なんだか不気味で……殺気を感じてしまうような瞳をしている。
私の膝や肩は激しく震えはじめる。
そうだ。私は2人に怯えているだけじゃない。2人から感じる明確な殺意に怯えているのだ。それは”死”を恐れる人間としての本能でもあって。
2人は私の怯えた表情を見て、何が愉快なのか唐突に笑い始めて、その悪魔のような笑い声が私の頭の中で何度も反芻した。
恐怖に体が小刻みに震えて、せめてもの強がりで大声を上げても震えは収まらない。そんな無様で情けない私の姿を見て、2人はまた可笑しそうに嗤う。
「あら、優美さん? もしかして……怯えているのかしら? くすくす……一体何をそんなに怯えてるの?」
「怯える姿もいいが……くっくく」
「せっかくの朗報がテメェにあんだ。……喜んで聞けよ?」
彼は愉快そうに嗤うと、白い歯を見せながら物語を語り出した。いや、物語ではない。創作されたものじゃないんだから。
Angel
【Aメロ】
羽根がないの 空へ羽ばたく両翼が
私の足は いつも冷たい地面にあって
空の青さを知らず 地の色しか知らない
【Bメロ】
どうにでもなれと諦めた
頭がピリピリ 痺れます
だけど結局誰かに抱きしめてもらいたくて
羽根のない体で空へ落ちる
【サビ】
翼のないAngelは 楽園には入れずに
落ちぶれた世界に 落とされたの
馬鹿みたいな大空は 今日も人々を魅了して
私もそんな人々の 仲間なの
翼のないAngelは 楽園を追放されて
悲しみの輪廻に 流されたの
馬鹿みたいな大空は 今日も私だけを孤独にして
私は青くて綺麗な空を 睨むの
翼のないAngelは(×2)
楽園を追放されて
馬鹿みたいに青い空を 両腕広げて感じるんだ
それは恋とはいわない
【Aメロ】
何がおかしくて 笑っているんだい?
僕の可愛い猫ちゃん
淫らに尻尾を振るだけの雌猫
どうしてそんなに 僕を見て笑うんだい?
猫ちゃんは僕が嫌なのかい?
まあ、そんな事は始まりから知ってたけどさ
【Bメロ】
この目を壊してくれよ
灰色しか映さない
不良品な僕の目を
君なら壊してくれるだろ?
躊躇なくさ、抉るように
愛も恋も失った目で
【サビ】
長い雨はやむことなく
僕らの肩をぬらし続ける
昔見せてくれた君の笑顔は
雨に消え、雨音に押し消される
胸の痛みをずっと隠して
君とここまで過ごしてきたけど
そろそろ限界なんだ
わかってくれよ 僕の可愛い猫ちゃん
【サビ2】
どこまでも暗い心でさ
これから一人ぼっちで生きるんだぜ
この濁った世界を僕ら二人は
今までのように手を貸しあわないで
一人ぼっちでそれぞれの道を行くんだ
あの日々は一体何だったんだろうな
白く輝いて七月の太陽みたいな日々
君の手は温かく、僕の心は鼓動を打っていた
今じゃ見る影もなし 戻ってくるはずもない
さあ、そろそろお別れだ
あの日々にさよならを告げようじゃないか
この手を離すから
君も僕を振り向かわないで 前へ進むんだ
後悔はしてないかい?
そうか、してないのか
じゃあ、お別れだな
(あの日々は恋じゃない
恋よりもずっと、大切で重い
ナニカ、だったんだ)
オフィーリア
狂ってしまった あなたは
私の言葉も 聞こえずに
私の手を 冷たい手で引いて
私をどこかへ連れて行こうとする
禁じられた恋だからと
あなたから離れようとした
それが間違いだった
深く深く 何よりも
私を愛していたあなたは
私が離れてゆくのを見て
心壊れてしまったのだわ
ああ、あなたの言っている事は理解できない
かつてのあなたの面影など微塵もなく
残るは魂の宿らぬあなたの肉体だけ
それでもあなたは私をどこかへ連れて行こうとする
そこはどんな場所なのかしら?
天国かしら 地獄かしら
あなたの手はとても冷たいわ
まるで私を愛していないみたいで
あなたの目はとても鋭いわ
まるで私なんか見向きもしてないみたいで
ああこちらまで狂ってしまいそう
らるらるら~♪
お歌を唄いましょう
らるらるら~♪
そうすればあなたは元に
戻ってくれると信じているから
(さ、行け、尼寺へ!)
見失ったもの
世界は必ずそこにあって
僕らはアスファルトを歩き続けるんだ
光は必ずどこかにあって
僕らは必死に探し続けるんだ
風は必ず僕らを追い越して
僕らはいつも見失っているんだ
闇は僕らの心にあって
僕らは新しい闇を描きだすんだ
反論しますか?
光輝く街並みを抜けると
廃墟がありました
汚い、濁ったその街は
光の中の闇の部分なのです
綺麗なお花の中には
一本萎れたお花がありました
惨めなそのお花を
人は抜き取ります
私は何百年もの時を生きてまいりました
たくさんの綺麗な景色や
たくさんの人々を見守ったり
様々なことを思ったりしました
そんな私からのあなたへの問題です
汚く、濁った街と
萎れた哀れな花と
どちらが不必要なものだと思いますか?
私はどちらも不必要だとは思いません
私が不必要だと思うのは
汚い街ではなく
汚い街を救おうとしない
光輝く街であり
萎れた花ではなく
綺麗ではないという理由だけで捨ててしまう
人間の心なのです
あなたはどう思いますか?
私に共感しますか?
それとも
反論しますか?
目を閉ざした君へ
俺はアンタを支え続けるよ
動かないアンタを
俺は永遠に支え続けるんだ
この荒廃とした世界
それに絶望したアンタは
自ら深い眠りについた
それはとても、とても長く
永遠の眠りについたようで
俺はアンタだけを見続けるよ
アンタの目だけが綺麗で
色のついたガラスだから
俺はアンタを守り続けるよ
弱くて情けない俺を
アンタが守ってくれたのと同じように
どんなに俺が叫んだって
俺の声はアンタには届かない
耳と閉ざしたアンタ
世界に絶望して眠ったアンタ
(それでも)
待ち続けるよ
アンタが優しい手のひらで
俺を導いてくれたのと同じように
最高の世界
笑う貴方の姿は私の描いた理想の世界
泣く貴方の姿は私が嘆きた奈落の世界
こんなにも貴方を思っているのに
貴方は私の思いに気づかない
こんなにも手を伸ばしているのに
私の手は貴方には触れられない
それでも。それでもなんだ。
私は貴方を思い続ける
これが私にとっての最大の幸せ
貴方が笑っていてくれるのなら
私の手を握ってくれなくても構わない
貴方が笑う世界
私も笑える世界
二人で穏やかに過ごせる日常
それこそが
最高の世界
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